原稿(台本・コメント)は、観る人、聴く人目線で読む!
レッスンでも、「台本の読み方が浅い!」「もっと台本を理解したい!」という質問がよく出ます。
表現を研究していると、よくぶつかる壁です。
多くの人は、原稿(台本・コメント)があると、どうしても自分目線で読みがちです。
自分がまず内容を理解することで、「何を表現すればいいのか?」という部分を抽出し、その表現を考えるところから始めてしまいます。
でも、ちょっと待ってください。よく考えてみてください。伝えたい相手、観たり、聴いたりする相手は自分ではなく、その表現を受ける人たちになるのです。
この原稿(台本・コメント)の読み方を間違えてしまうと、修正するのはかなり困難になります。
そう、スタート地点で、ゴールとは違う道に進んでしまうのですから・・・
そうならないためにも、原稿(台本・コメント)は、観る人、聴く人目線で読むようにしてください。
原稿(台本・コメント)の読み方について・・・
①観る人、聴く人の立場で読む!
・ここでは、小説を読むように、読者(観る人、聴く人)目線で
内容を楽しんで読むようにしてください。
※プレゼンテーションなどのコメントの場合、実際に話している人を
勝手に想像して、プレゼンテーションを受けているイメージで
読むようにしてください。
・読者(観る人、聴く人)目線で読むことで、その内容のストーリーや
伝えたい部分、興味の湧く部分などが見えてくると思います。
※この時、どうしても観る人、聴く人 目線に慣れない場合は、
なれるまで何度も読み返すようにしてください。
・上記のように読んで、前記事でも記した『全体の世界観のイメージ』を
つかむようにしてください。
②原稿(台本・コメント)内容をどのように伝えるかテーマを決めるように読む!
・ここで、『全体の世界観をイメージ』しながらストーリーを通して
そのイメージで行けるかどうかを判断しながら読みます。
・原稿(台本・コメント)を表現している姿を具体劇な映像として
想像しながら、そのイメージを明確にしてください。
③キャラクターを設定しながら読む!
・自分を生かしたキャラクターを設定して、そのキャラクターで
展開できるかを想像しながら読んでください。
※台本の場合、場所の設定や、登場人物それぞれのキャラクターを
具体的に設定しながら、そのイメージを明確にしながら読んで、
その後、自分の役が、どのような役割かを理解し、自分を生かした
キャラクターを設定して、展開を想像しながら読んでください。
④表現プラン(演技プラン)を考えながら読む!
・今まで記事にしてきた、『間』や『表情』『音』を工夫しながら、
全体の流れが繋がるように表現プラン(演技プラン)を立ててください。
⑤立てた表現プラン(演技プラン)を具体的にイメージしながら読む!
・立てた表現プラン(演技プラン)を、具体的な映像として想像しながら
その様子を客観的に見ながら、観ている人、聴いている人にどのように
伝わっているか?自分がイメージした世界観で良いか?など
考えながら読んでください。
⑥原稿(台本・コメント)を入れる。
・①〜⑤の行程で、一つでもうまくいかないものがあったら、うまくいくまで
繰り返し行ってください。
※こだわればこだわった分だけ、良いもの(匠の技)になります。
・①〜⑤の行程が終えたら、原稿(台本のセリフ・コメント)を入れます。
・動きや声を出して実際にイメージ通りになっているかを確かめながら
行ってください。
※録画して確認すると効果的です。
『原稿(台本のセリフ・コメント)を入れる』とは?
私がいたTVドラマの現場では、セリフを暗記するという言葉は使われていませんでした。そこでは『セリフを入れる』『セリフが入っている』という言葉が飛び交っていました。
暗記とどう違うのか?
それは、暗記したセリフは、頭の中だけの記憶になりがちで、動きや声を使うとどうしても忘れがちになり、時間がかかる割に、効果が出ずらいものになってしました。
もちろん、セリフを暗記してから表現を考えるタイプの役者さんもいますが、私は、『セリフは入れる』方を推奨しています。
『入れるとは?』①〜⑤の行程を行うことで、原稿(台本のセリフ・コメント)は知らず知らず身体の動きや表情などの表現と一緒に記憶されていくことを意味します。
つまり、暗記しなくても、表現を具体的にイメージして行っていくことで、『自然と入ってくる』のです。
このように、一度入った原稿(台本のセリフ・コメント)は、頭で記憶するのとは違い、間違いが起こりづらくなります。
※急がば回れです。
原稿(台本・コメント)は、一番最初の読み方で全てが決まると言っても過言ではありません。
より深く読んで、いくつもの表現をプランニングして、試しては直す。試しては直す。
この繰り返しが、人の心を動かす表現となるのです。
考えると頭が痛くなるような作業ですが、はじめにこのやり方で行っていけば、当たり前のようにできるようになります。
前記事の『全体の世界観をイメージ』することと併せて行ってみてください。
みなさん、ファイトです!!!!!