『キャラクター』『間』『表情』『キャッチボール』を使った感情表現!
ここでは、今までお話ししてきた『キャラクター』『間』『表情』『キャッチボール』を使った感情表現について記してきたいと思います。
もちろん、表現は『キャラクター』『間』『表情』『キャッチボール』だけではありませんが、ここまでのまとめとして記していきます。
★感情表現のベース『喜・怒・哀・楽』★の記事で記した、『哀』の中の参考例からご説明していきます。
『 大切な人を亡くして哀しむ』
◎元気で明るい人(わかりやすくするために先のキャラクター設定で行います。)
★演技プランを考えてみましょう★
表現する前に考えるポイント1
①どのような『哀しみ方』が見ている人に強く伝わるかを考えてください。
→ここでは、元気で明るい人を設定しているので、例として、
普段は明るいが、実は繊細という設定で
「この人がこんなになってしまうのか?」という
『哀しみ方』で行うことにします。
表現する前に考えるポイント2
①なくなった相手との『関係性』を設定します。
→『哀しみ』を表現する上で、ここが重要となります。
「病気がちな自分を懸命に育ててくれた母親」とか
「自分に力を与えてくれた動物」
「一粒種で生まれてきた子供」など・・・
※亡くなった人を設定するのに不謹慎かもせれませんが、亡くした人の哀しみを
しっかりと受け止めて表現する意識を持って設定してください。
ここでは、「病気がちな自分を懸命に育ててくれた母親」の設定にしてみます。
②『哀しみの感情』を強いものにするための設定をします。
→ここでは、母子家庭で、
「母は食べずに自分にはしっかり食べさせてくれた」ときの様子や
「病院で必死に医師に助けを乞う姿」など、感情が入りやすい
設定をします。
※この設定は、多ければ多いほど感情を入れやすくなります。
表現する前に考えるポイント3
①『哀しみ』が強調できる元気で明るいキャラクターを設定します。
・あなたの容姿をポイントに考えてください。
→ここでは、容姿はあまりよくないが、笑顔が素敵な女性の設定で考えてみます。
※この設定を活かすために、結婚が決まっているという設定も加えてみます。
②キャラクターを意識した『哀しみ方』を決める。
→母親の顔を見ながら、今までの感謝の気持ちを表すような優しい微笑みから、
今までの母との思い出がよみがえってきて、哀しみが込み上げて、
大きな声を上げながら泣くという設定にしてみます。
※設定は、何度も思案することでより良い表現になりますよ!( ´ ▽ ` )ノ
表現する前に考えるポイント4
①『哀しみ』が引き立つような場所・方法の設定を決める。
→病院に駆けつけてきたという設定にしてみます。
動から静という導入部を印象的にすることで、観ている人が演者に
していただきます。
さらに、元気という部分で、勢いよく入ってくるという部分も
考えてのことです。
※設定は、できるだけ具体的に考えてください。
②「母の死」を受け止めた瞬間、自分の行動がどうなるかをイメージする。
→「拒否する」「全身の力が抜ける」「受け止める」など・・・
瞬間の表現を意識してください。この表現をしっかりと
設定することは、『哀しみ』の表現を際立たせるポイントになります。
※ここでの『間』『表情』の表現が一番の見せどころとなります。
表現する前に考えるポイント5
①『哀しみ』の瞬間を引き立たせるために、そこに至る『間』と『表情』の表現も
設定してください。
→「拒否する」のであれば、元気で明るいというキャラクターを考えて、
「顔を大きく横に振る」とか「病室中を頭を抱えながら動き回ることで
受け入れられない気持ち表現する」など・・・
※この部分の表現があるからこそ『哀しみ』の表現が引き立ちます。
以上のポイントを決めたら、ポイントの1~5を踏まえて設定した通りに、イメージをつなぎ合わせてください。
※ここでの注意点として、あまり複雑にならないシンプルな流れにすることです。
※時間があれば、下記のつなぎ合わせた例を見る前に、自分で考えてみたものと
下記の例を比べながらシンプルな流れを考えてみることも良いと思います。
<展開例>
→ ①母が横たわるベッドに「お母さん!」と叫びながら駆け込んでくる。
※驚きの表情は目を見開いて大きく!
②母の優しく眠るような顔を見る。受け入れられずにひきつった表情で
「お母さん?」と問いかける。
※ここは確かめる瞬間の『間』です。
受け入れていないので、セリフを言う前に小さく顔を横に振り、
ひきつった表情を見せてからセリフを小声でやさしく言います。
セリフを繰り返すのもいいでしょう。
③問いかけても返事がない。母の顔に手をあて、確かめるように何度も問いかける。
※まだ温かい母の顔、問いかけながら、返事をしない母に、身体が震えてくるなど、
身体での表情の変化でだんだん受け入れなくてはいけない感情を表現します。
④返事をしない母。死を否定するように母の顔をから手をはずし、
「やだ~」「うそだ~」などと大きな声で泣き叫ぶ。
※拒否する『目の表情』から、『間を使って』手をゆっくりと放しながら、
そのゆっくりとした手の速度を急に早くて頭をかかえ、病室中を動き
回りながらセリフを叫び、ここで葛藤を描いていきます。
⑤徐々に力が抜けて、その場に崩れ落ちる。
※動き回りながら、受け止めた表現として、動きを急に止め、
受け入れた表現として、しばらく止まった『間』を使って
崩れ落ちます。崩れ落ち方も工夫してください。
⑥しばらくして、ゆっくりと立ち上がって母の横に立つ。
※力が抜けた立ち上がりと、受け入れた感情で母を見る表現は、
顔、目はもちろん全身の表情を意識して表現してください。
⑦母の横でやさしく微笑み、「お母さん、今までありがとう」と語り掛ける。
※母の横で見つめる表情は『しっかりとした間』を使って、
今までの思い出を表す表情を見せてください。この『間』がラストを
ドラマチックにしてくれます。
※そして、その表情のまま涙があふれる様子を『間』『表情』で見せて、
やさしくセリフを!
⑧母をやさしく抱きしめて「お母さん」と大声で叫ぶ。
※母をやさしく抱きしめ、その後、更に強く抱きしめた後に、
天の母にとどくようにセリフを叫んで終了します。
※イメージをつなぎ合わせるときに、観ている人、聴ていく人に
しっかりと伝わっているかという『キャッチボール』を意識してください。
表現の最大のポイントは?
ここでも『哀しみ』の感情が際立つように、観る人、聴く人に、自分が表現した後にどのような気持ちになっていただきたいかをしっかりと描いて『演技プラン』を立ててください。
上記の表現の最大のポイントを意識して、他の『哀しみ・悲しみ』の参考例も試してみてください。
※自分の表現をビデオやスマホなどで撮影して、
「イメージ通りになっているか?」
「『哀しみ』が伝わってくるか?」
を確認して、時間の許す限りこだわってみてください。
人の心を動かす表現は、伝えたいと思う気持ちの大きさに比例します。
みなさん、ファイト!!!!!です。