『目』だけではない表情の効果!
表情とは、目・眉・鼻・口などの『顔の表情』と手や肩、背中や足などの『身体の表情』など、心の中の感情が現れる部分のことを言います。と記した通り、心の中の感情が現れる部分は様々な部分で表現できます。
例えば、★感情表現のベース_Part4『怒』の表現例と『演技プラン』★の展開例をもとにご説明します。
<展開例>
①携帯で電話をかける。
→この時の感情は『動揺』です。
見る人は、全体から見始めますので、まず、肩を落として、
小刻みに震える様子を印象付けます。
そして、震える手で携帯を持ち上げ、じっと携帯を見つめます。
見つめる目がゆっくりと泳ぎ、ここで『動揺』を印象付けます。
※人は動いているものや、急に止まった部分に意識的に注目します。
この心理をうまく使って、強調したい表現を伝えていきます。
そして、ゆっくりと相手の番号を押します。
※この番号を押す指にも「掛かって欲しい」という感情が現れるように
震える指の表情で表現します。
②電話がかかると同時に表情が曇り、震えだす。
→使われていない状態だと、呼び出し音が鳴らずに電話がかかりますから
かかった瞬間の感情『もしかしてという期待』をハッとした表情、
瞬時に目が大きくなり、口が小さく開く表現で行います。
※この時、実際はあっという間に行われてしまうでしょうが、
「かかった瞬間」「ハッとした表情」は見ている人が認識できる時間を
考えた長さで行うのがポイントです。
③震えながら「使われていない・・・」とつぶやき電話を切る。
→ここで注意!
「使われていない・・・」というセリフがあると、焦ってセリフを
言いがちですが、ここが表現力の見せどころ!
ハッとした表情の時間を長めにしましょう!そう、『間』を使うのです。
この『間』は、観ている人が『どうなったの?』とストーリーに入って
演者と一体になる瞬間を作るのです。
この一体となる瞬間ができたときにセリフを言うと効果が上がるのです。
ハッとした後、内向的なキャラクターなので目の焦点が定まらなくなり、
口元がガクガクした表情で、観ている人に『つながらないの?』という
想像をさせてから、ゆっくりと震える声でセリフをいうと心情を見ている
人に伝えることができます。
④呆然としながら、仏壇の前でおりんを鳴らす。
→そのまま、焦点が定まらない目で携帯電話を落とします。
※携帯を落とすときですが、手の力が抜けていくという手の表情で
表現することを忘れずに!
そして、魂の抜けた様子で立ち上がり、何かに操られているように
仏壇の前に・・・
※この時、意思を持って仏壇に行かないように気を付けてください。
魂が抜けてますからね!
そして、魂の抜けたまま座り、同じく何かに操られているように
おりんを鳴らす。
そして、おりんの音で現実に戻ります。
※ここがポイント!おりんの音が心に響いた様子を表現するために、
鳴ったらすぐに現実に戻るのではなく、鳴った後、力の抜けた目に
力が入ってくる様子を表現するようにしてください。
⑤仏壇をじっと見つめながら「お母さんごめん。騙された・・・」と
申し訳なさそうに謝る。
→現実に戻ったところで、お母さんの写真をじっと見つめてください。
※写真が無い状態で演技をする場合は、写真を手に持つなど、観ている人に
わかりやすく伝えることも忘れないでください。
※写真を見つめながら、目に涙が浮かんできたら最高!ですね。
この涙が浮かぶことで感情が形となって表れて、観ている人にその感情が
伝わりやすくなりますから・・・
涙が浮かんできたところで、そのままの気持ちでセリフを言います。
※ここで悔しさを出したくなりますが、その前に『情けない気持ち』を
出してからの方が、より人間味を出すことができるでしょう。
⑥服の裾を握りしめながら、悔しそうに「お母さんが残してくれたお金・・・」
→服の裾を握りしめる手の表情で悔しさを表現してください。
※セリフで感情を説明しては興ざめです。
手や肩などの表現で感情(心情)を見せることで、観ている人はその人の
気持ちを想像し、感情移入できるのです。
そして、お母さんの写真を直視できない気持ちで目線を外し、ゆっくりと
頭を下げて『申し訳なさ』を表現し、自分の心に語り掛けるように
セリフ「お母さんが残してくれたお金・・・」を声にならない声で
言ってください。
※セリフは一気には言わず、「お母さんが残してくれた・・・お金・・・」
のように、間をあけると更に効果的です。
⑦歯を食いしばりながら、「騙されるなんて・・・」
自分のふがいなさに怒りが込み上げてくる。
→体を大きく震わせながら、服の裾を握りしめる手に更に力が入ることで
悔しさが込み上げ、その悔しさが怒りに変わる心情を表現します。
※ここで、握りしめる前に涙が拳に落ちたら、これまた最高!ですね!
※表現には、できるできないがあるかもしれませんが、『演技プラン』
においては、理想的なプランを立てるようにしてください。
できない場合は、違う方法を模索することも大切です。
怒りに変わる瞬間を強調するために、握りしめた手を止め、身体の震えも
同時に止めて、『怒りに満ちた目』でお母さんの写真を見ます。
※ここが最高の見せ場です。『怒りに満ちた目』その目を引き立たせる
ための眉や口元など、表情はこだわって作ってください。
この表情を見ている人に十分見せてから、歯を食いしばってセリフと
なります。
※セリフもこの人の気持ちが十分に伝わる言い方にこだわってください。
※このセリフを言う前が『怒り』の見せ場となります。ここのために
すべてが作られてきていますので、くどいですがこだわってください。
⑧震えながら握った拳で自分の足をたたきながら。「馬鹿、馬鹿・・・」と
徐々に声を大きくしながら、「なんてバカなんだ・・・」と大声で叫び、
仏壇に向かって大泣きしながら謝り続ける。
→ここは、『怒り』から、観ている人にこのひとの心情に同調していただく
余韻のような部分になります。
感情が入れば、素直に行うことで気持ちが現れると思います。
でも、『演技プラン』はしっかりと立てて、気を抜かないでくださいね。
上記は、あくまでも参考例ですので、他にももっとシンプルに作ったり、もっと強い表現で行ったりすることができると思いますが、まずはできるところから始めてくださいね。
以上のように、表現にとって『目の表情』だけではなく、『口の表情』『肩の表情』『手の表情』『眉の表情』など、組み合わせることによって、より強調した表現をすることが可能となるのです。
表現は、より具体的なイメージをしながら、その感情の変化する部分を『間』や『表情』、さらには『小道具(小物)』などを使うことで強調し、観ている人、聴いている人に同調・共感していただために用いるものです。
より具体的に、より拘ることで、その表現力にも磨きがかかります。
常に、観ている人、聴いている人の気持ちを考えながら取り組むことが重要です。
この記事では、演技をベースに紹介していますが、講演・プレゼンテーション・オーディション・面接。どれに対しても考え方は当てはまると思います。
- 相手に何を伝えたいのか?
- 相手にどう思っていただきたいのか?
- 相手にどう感じていただきたいのか?など・・・
伝えたいことを明確に強調して伝えるという点で表現力は大切だと思います。
うまく応用していただけると幸いです。
表現力アップは焦らずに一歩一歩着実に進むことが一番の近道です。
みなさん、あせらず、あきらめずに、ファイトです!!!!!