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★滑舌のためのレッスンテキスト_Part3★

 

滑舌のための基礎レッスンテキスト③

 

外郎売り(ういろううり) 

 

 『外郎売り』は享保3年(1718年)二代目市川團十郎によって初演された歌舞伎十八番です。

 

なぜ、外郎売りが、テキストとして使われているのか?

それは、「発声」「滑舌」「呼吸調節」「感情表現」「音の強弱」など、あらゆる面で優れているからです。

 

『外郎売り』は、薬の効能、それにまつわる由来を語りながら薬を売るお話です。慣れてきたら、「滑舌」の練習としてではなく、外郎売りになりきって、今で言う『実演販売員』のようにチャレンジしてみてください。

 

①はじめは、一音一音丁寧に、ゆっくりと滑舌に注意して読んでください。

②昔の言葉を使ってはいますが、読んでいくと内容がつかめてくるので、

 強調する言葉などは、強調するように読むようにしてください。

③早口になる部分(第三段落~第五段落中ごろ)は、薬が効いてきたように、

 徐々にスピードを上げながら、テンポよく単調にならないように

 読んでください。

④慣れてきたら、長音(ロングトーン)を意識して読むようにしてください。

 慣れるまでは、自分のペースの息継ぎでOKです。

 

◎長音(ロングトーン)とは?

 ・長い文章を伝えやすくするために、息継ぎで聞きづらくならないように

  一息で文章を読み切る方法です。

 ・ロングトーンは歌で使われている用語で、一つの音を長く伸ばす意味ですが

  ここでは、『呼吸の調節』の方法として記します。

 

◎長音(ロングトーン)の効果

 ・息継ぎが多くなると、内容が途切れ途切れになってしまい、

  聞いている人が集中できません。

 ・長い文章やセリフ、コメントなど聞いている人に説得力を与えながら

  内容を伝えるために、長音(ロングトーン)の練習は重要なのです。

 

※長音(ロングトーン)の練習の目安として、息継ぎの場所に★印をつけて

 おきますが、慣れてきたら、段の初めに息を吸って、その段を一息で

 言えるように練習してみてください。

 表現力アップにかなりの効果が出せると思います。 

 

 

<第一段落> 

拙者親方と申すは、お立会の中に

せっしゃおやかたともうすは、おたちあいのうちに

御存じのお方もござりましょうが

ごぞんじのかたも ござりましょうが

お江戸を発たって二十里上方

おえどをたって にじゅうりかみがた

相州小田原一色町をお過ぎなされて

そうしゅうおだわら いっしきまちを おすぎなされて

青物町を登りへおいでなさるれば

あおものちょうを のぼりへ おいでなさるれば

欄干橋虎屋藤衛門

らんかんばし とらやとうえもん

只今は剃髪致して、円斉と名のりまする。

ただいまは ていはついたして、えんさいとなのりまする。

元朝より、大晦日まで、お手に入れまする此の薬は

がんちょうより、おおつごもりまで、おてにいれまする このくすりは

昔ちんの国の唐人、外郎という人、わが朝ちょうへ来たり

むかし ちんのくにのとうじん、ういろうというひと、わがちょうへきたり

帝へ参内の折りから、この薬を深く籠こめ置き

みかどへ さんだいのおりから、このくすりを ふかくこめおき

用もちゆる時は一粒ずつ、冠のすき間より取り出いだす。

もちゆるときは いちりゅうずつ、かんむりの すきまより とりいだす。

よってその名を帝より、透頂香と賜わる。

よってそのなをみかどより、とうちんこうとたまわる。

即文字には「頂き」「透く」「香い」と書いて

すなわちもんじには、「いただき」「すく」「におい」とかいて

「透頂香」と申す。

「とうちんこう」ともうす。

只今はこの薬、殊の外ほか、世上に弘まり

ただいまはこのくすり、ことのほか せじょうにひろまり

方々に偽看板を出いだし

ほうぼうに にせかんばんをいだし

いや、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと

いや、おだわらの、はいだわらの、さんだわらの、すみだわらのと

いろいろに申せども

いろいろもうせども

平仮名をもって「ういろう」と記せしは、親方円斉ばかり。

ひらがなをもって「ういろう」としるせしは、おやかた えんさいばかり。

もしやお立会いの中うちに熱海か塔の沢へ、湯治にお出なさるるか

もしや おたちあいのうちに、あたみかとうのさわへ、とうじにおいでなさるるか

または伊勢御参宮の折からは

または いせごさんぐうの おりからは

必ず門違かどちがいなされまするな。

かならず かどちがい なされまするな。

お上ならば右の方、お下りなれば左側

おのぼりならば みぎのかた、おくだりなれば ひだりがわ

八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り。

はっぽうが やつむね、おもてが みつむね ぎょうくどうづくり。

破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって

はふには きくにきりのとうの ごもんごしゃめんあって

系図正しき薬でござる。

けいずただしき くすりでござる。

 

<第二段落

いや最前より家名の自慢ばかり申しても

いやさいぜんより かめいのじまんばかり もうしても

ご存知ない方には、正身の胡椒の丸呑み

ごぞんじないかたには、しょうしんの こしょうのまるのみ

白河夜船、さらば一粒食べかけてその気味合いを

しらかわよふね、さらば いちりゅうたべかけて そのきみあいを 

お目にかけましょう。

おめにかけましょう。

先ずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして

まず このくすりを かようにひとつぶ したのうえにのせまして

腹内へ納めまするといやどうも言えぬは

ふくないへ おさめますると いやどうもいえぬは

胃・心・肺・肝がすこやかになりて

い・しん・はい・かんが すこやかになりて

薫風候より来たり、口中微涼を生ずるが如し。

くんぷうのんどより きたり、こうちゅうびりょうを しょうずるがごとし

魚鳥・茸・麺類の食い合わせ

ぎょ ちょう・きのこ・めんるいの くいあわせ

その外、万病速効ある事神の如し。

そのほか、まんびょう そっこうあること かみのごとし。

さて、この薬、第一の奇妙には

さて、このくすり、だいいちのきみょうには

舌のまわることが、銭独楽がはだしで逃げる。

したのまわることが、ぜんごまがはだしでにげる。

ひょっと舌がまわり出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。

ひょっと したが まわりだすと、やもたても たまらぬじゃ。

 

<第三段落>  

そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。

そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。

アワヤ候、サタラナ舌に、カ牙サ歯音

あわやのど、さたらなぜつに、かげさしおん

ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに

はまの ふたつは しくちびるのけいちょう、かいごう さわやかに

あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろお。

あかさたな はまやらわ、おこそとの ほもよろお。

一つへぎへぎに、へぎ干しはじかみ、盆豆 盆米 盆ごぼう、

ひとつ へぎへぎに、へぎほしはじかみ、ぼんまめ ぼんごめ ぼんごぼう

摘み蓼 つみ豆 つみ山椒、書写山の社僧正

つみだて つみまめ つみざんしょ、しょしゃざんの しゃそうじょう

粉米のなまがみ 粉米のなまがみ こん粉米の小生がみ

こごめの なかまがみ こごめのなまがみ こんこごめの こなまがみ

繻子・ひじゅす・繻子・繻珍

しゅす・ひじゅす・しゅす・しゅちん

親も嘉兵衛 子も嘉兵衛、親かへい子かへい 子かへい親かへい

おやもかへい こもかへい、おやかへい こかへい こかへい おやかへい

古栗の木の古切口、雨合羽か番合羽か

ふるくりのきの ふるきりくち、あまがっぱか ばんがっぱか

貴様のきゃはんも皮脚絆、我等がきゃはんも皮脚絆

きさまの きゃはんも かわきゃはん、われらが きゃはんも かわきゃはん

しっ皮袴のしっぽころびを、三針はり長にちょと縫うて

しっかわばかまの しっぽころびを、みはり はりながに ちょと ぬうて

ぬうてちょとぶんだせ、河原撫子 野石竹

ぬうて ちょと ぶんだせ、かわらなでしこ のぜきちく、

のら如来 のら如来 三のら如来に六のら如来。

のらにょらい のらにょらい みのらにょらいに むのらにょらい

一寸先のお小仏に おけつまずきゃるな、細溝にどじょにょろり。

ちょっと さきの おこぼとけに おけつまずきゃるな、ほそどぶに どじょ にょろり。

京の生鱈 奈良生学鰹、 ちょと四五貫目

きょうの なまだら なら なま まながつお、ちょと しごかんめ

お茶立ちょ茶立ちょちゃっと立ちょ茶立ちょ

おちゃだちょ ちゃだちょ ちゃっと たちょ ちゃだちょ

青竹茶筅でお茶ちゃと立ちゃ。

あおたけ ちゃせんで おちゃ ちゃと たちゃ。 

 

<第四段落>  

来るは来るは何が来る、高野の山の おこけら小僧

くるはくるは なにがくる、こうやのやまの おこけらこぞう

狸百匹 箸百膳 天目百杯 棒八百本。

たぬき ひゃっぴき はし ひゃくぜん てんもく ひゃっぱい ぼうはっぴゃっぽん

武具・馬具・武具・馬具・三武具馬具、合わせて武具・馬具・六武具馬具

ぶぐ・ばぐ・ぶぐ・ばぐ・みぶぐばぐ、あわせて ぶぐ・ばぐ・むぶぐばぐ

菊・栗・菊・栗・三菊栗、合わせて菊・栗・六菊栗

きく・くり・きく・くり・みきく くり、あわせて きく・くり・むきくくり。

麦・五味・麦・五味・三麦五味、合わせて 麦・五味・六麦五味。

むぎ・ごみ・むぎ・ごみ・みむぎ ごみ、あわせて むぎ・ごみ・むむぎごみ。

あの長押の長薙刀は、誰が長薙刀ぞ。

あの なげしの ながなぎなたは、たがながなぎなたぞ。

向こうの胡麻がらは 荏のごまがらか、真ごまがらか

むこうの ごまがらは えの ごまがらか、まごまがらか

あれこそほんの真胡麻殻。

あれこそ ほんの まごまがら。

がらぴいがらぴい風車、おきゃがれこぼし おきゃがれ小法師

がらぴい がらぴい かざぐるま、おきゃがれ こぼし おきゃがれ こぼうし

ゆんべもこぼして 又こぼした。

ゆんべも こぼして また こぼした。

たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ

たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ

たっぽたっぽ一丁だこ、落ちたら煮て食お

たっぽ たっぽ いっちょうだこ、おちたら にてくお

煮ても焼いても食わぬ物は、五徳鉄弓・かな熊童子に

にても やいても くわぬものは、ごとくてっきゅう・かなぐまどうじに

石熊・石持ち・虎熊・虎きす

いしくま・いしもち・とらくま・とらきす

中にも 東寺の羅生門には 茨木童子がうで栗五合 つかんでお蒸しゃる。

なかにも とうじの らしょうもんには いばらきどうじが うでくり ごごう つかんで おむしゃる。

彼の頼光の膝元去らず。

かのらいこうの ひざもと さらず。

 

<第五段落>  

鮒・金柑・椎茸、さだめて後段な

ふな・きんかん・しいたけ、さだめて ごだんな

そば切り、そうめん、うどんか、愚鈍な小新発知

そばきり、そうめん、うどんか、ぐどんな こしんぼち

小棚の、小下の、 小桶に、こ味噌が、こ有るぞ、小杓子、こ持って

こだなの、こしたの、こおけに、こみそが、こあるぞ、こしゃくし、こもって

こ掬って、こよこせ、おっと合点だ、心得たんぼの川崎

こすくって、こよこせ、おっと がってんだ、こころえ たんぼの かわさき

神奈川、程ガ谷、戸塚は、走って行けば 灸を摺りむく、三里ばかりか

かながわ、ほどがや、とつかは、はしっていけば やいとをすりむく、さんりばかりか

藤沢、平塚、大礒がしや

ふじさわ、ひらつか、おおいそがしや

小磯の宿を七ツ起きして、早天早々相州小田原とうちん香

こいそのやどを ななつおきして、そうてん そうそう そうしゅう おだわら とうちんこう

隠れござらぬ貴賎群衆の、花のお江戸の花ういろう

かくれござらぬ きせん ぐんじゅの、はなの おえどの はな ういろう

あれあの花を見てお心を、おやわらぎゃっという。

あれ あのはなをみて おこころを、おやわらぎゃっという。

産子、這う子に至るまで、此の外郎の御評判

うぶこ、はうこに いたるまで、この ういろうの ごひょうばん

ご存知ないとは申されまいまいつぶり、角出せ、棒出せ、ぼうぼうまゆに

ごぞんじないとは もうされまいまいつぶり、つのだせ、ぼうだせ、ぼうぼうまゆに

臼・杵・すりばち、 ばちばちぐゎらぐゎらと

うす、きね・すりばち、ばちばち ぐわら ぐわらと

羽目を弛して今日お出での何茂様に、上げねばならぬ売らねばならぬと

はめを はずして こんにち おいでの いずれもさまに、あげねばならぬ うらねばならぬと

息勢引っぱり、東方世界の薬の元締め、薬師如来も照覧あれと

いきせい ひっぱり、とうほう せかいの くすりの もとじめ、やくしにょらいも しょうらんあれと

ほほ敬って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。

ほほ うやまって、ういろうは、いらっしゃりませぬか。

 

※『外郎売り』は、オーディションなどで特技として使うこともできます。

 そのくらい優れたテキストです。

 いろいろとご自身で調べながら、表現のテキストとしても役立ててください。

 

みなさん、ファイトです!!!!!